２週間以上遅れのハピバース

「今日はやけに機嫌が良いな」
学内の図書館でよく出会うその人は、今日もお決まりの席に座りながら小説を読んでいましたが、俺の姿を見るなりしおりを挟んで本を閉じ、足を組んでこちらに向き直りました。
あなたがここにいたことがそれに拍車をかけているだなんて、言える俺ではありません。
「こんにちは。そう見えますか？」
「見えるさ。君は感情が顔に出やすいな。」
「ハハ、よく言われます。」
言ってくれる人は多いけれど、今までこれほど正確に俺の感情を読み取ることができたのは貴方だけ。
めがねの奥の少しつり上がった目と大きな瞳。
きっとそれだけで見ているんじゃないんだろうな。この人は。そんな風に思います。
「いいことでもあったのか？」
少し早口。どちらかと言うとのんびり話す俺にはその響きが心地良く。
「ええ、まあ。」
照れながら答えると、その人は「そうか、それはよかったな。おめでとう」と俺を見上げてうなずいて、そうしてまた椅子に座って活字に目を落としました。
だから俺は「それじゃ」と言ってその場を離れ、一番遠くの本棚まで歩きます。
そして一冊、本を取り出して。
思い切りぎゅっと抱きしめました。
「おめでとうだって……！」
そんな貴方に会えたことが、言葉を交わしたことが、今日、最高の誕生日プレゼント。

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結局、落ち着くまで読みもしない本を手にとってページをめくっては棚に返すを繰り返し、
花と鳥の図鑑を一冊だけ借りることにして、図書館のフロントに向かう頃にはもうあの人はいませんでした。
でも。
あの人のお気に入りの席に、
切り取ったノートで作ったチューリップ３本の花束とメモ書きが。
『どうせ君のことだから今日が誕生日とかそんなところだろう。』
「………！」
俺はハッとして図鑑のページを繰りました。

【チューリップの花言葉】
・愛の告白


「―――……まさか、ね。」


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筑紫さんお誕生日おめでとうございました～！
完全に乗り遅れた……のですが。
チューリップには他にも「失恋」とか「思い出の恋」って花言葉もあるそうですぜ。
だとしたら今もチューリップを贈り続けているのは…笛吹さんたら！


話は変わりますが、最近やたら鼻水が出ます…まさかこれが花粉症！？
私もついに花粉症！？
これ、このアレルギー、なんて恐ろしいんだ！！